ESG投資
ESG投資がグローバルで急速に拡大し、2018年時点で30兆ドルの市場規模となっています。日本においても、ESG投資は2015年のGPIFのPRI原則への署名後、急速に普及し、2018年時点では231兆円に対して、2020年3月期では310兆円(日本サステイナブル投資フォーラム,2020)へと成長し、市場の20%を超えています。
投資家のESG指標に関する関心の高まりから、上場企業のESG経営に対する対応が問われ、従来型の統合報告における非財務指標の開示から、「社会的インパクト」への志向が加速していると言えます。
社会的インパクト投資市場の拡大
社会的インパクト投資については、2018年度末時点グローバルで5,020億ドル(GIIN2019)、日本においても2019年時点で4,480億円(GSG国内諮問委員会2019)と推定されています。企業が実施するアクセラレータープログラムの対象やCVCの投資についても、社会的インパクトを追求するものが増加しています。
社会的インパクト投資に必要な社会的インパクト評価についても、グローバルに基準設定の合従連衡が起こり、市場メカニズムの形成が見られます。
社会的インパクト評価の系譜
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グローバルに統合が進む社会的インパクトの評価手法
従来は異なる基準やアプローチが提唱されてきた社会的インパクトの評価手法ですが、2010年代後半から急速に合従連衡が進み、基準を設定しようとする国際機関や民間のネットワークが相互に連携し、相互互換性を担保する原則、アプローチ、指標セット等の合意形成が進んでいます。
- ●国連開発機関UNDPがIMPと提携して、社会的インパクト・マネジメントの基準をSDGs Impact Standardとして制定
- ●プライベート・エクイティ投資、債券、企業の3つの異なる対象に対する社会的インパクトの基準を発表
- ●UNDP、IFC、OECD、PRI、SVI等、グローバルな社会的インパクトの基準設定にかかわる組織が参画するインパクト・マネジメントに関する国際イニシアティブ
- ●5 Dimensions等のインパクト評価規範を2018年の発表以降、2,000を超える投資家が参加している
- ●ロックフェラー財団、UNDP、Acumen Fundが設立に関わったインパクト投資の中間支援組織
- ●2008年に発表した社会的インパクトの評価指標データベースであるIRISを2018年にリニューアルし、IRIS+とりしてリリース
- ●2019年の世銀会合においてIFCがインパクト投資の9原則を発表
- ●戦略的意図、組成とストラクチャリング、ポートフォリオマネジメント、出口戦略におけるインパクト、独立した検証の5つの領域において、インパクト投資が適用するべき9つの項目を定義した