ソーシャル・インパクト・ボンドについて - Social Value Japan|ソーシャル・バリュー・ジャパン

PFS/SIB
成果連動型契約(PFS)・ソーシャルインパクトボンド(SIB)とは

成果連動型契約(PFS)・ソーシャルインパクトボンド(SIB)とは

成果連動型契約とは

2010年から英国で開発され、米国、オーストラリア等24か国(2018年1月時点)で実施される新しい官民連携の社会的投資モデルのこと。予防的な施策で、中長期的な社会的コストを削減する優れた社会的事業に対して、その成果に連動する形で、民間投資での事業実施を行います。 投資家、篤志家、助成財団が資金を拠出し、事業の成果が確認された時点で、一定の財務的リターンを付与し、行政から投資の償還を受けます。

成果連動型契約(PFS)・ソーシャルインパクトボンド(SIB)のスキーム

従来の行政事業の実施スキーム

従来の行政事業は、
①行政が直接的に受益者に対して事業を行う
②特定の社会課題に特化したNPO・社会的企業に業務を委託して事業を行うもの
の2つのスキームが主でした。

Pattern 1通常の行政による事業実施
通常の行政の事業実施では、行政が自ら受益者に対して事業を行う
Pattern 2事業効率の高いNPOや企業への委託による事業実施
特に英国では、2000年代後半以降、特定の社会課題に特化したNPO等に業務を委託し、政府は資金提供と管理を行う形へと進化

PFS・SIBを用いた行政事業のスキーム

成果連動型契約(PFS)・ソーシャルインパクトボンド(SIB)を用いたスキームでは、まず社会課題解決のための事業に対して、関心のある投資家が資金提供を行い、その資金を元に事業を実施します。
事業を実施する事業者は、「革新的で実験的な新しいアイディアのある企業や非営利組織」を行政・中間支援組織が選定します。
  • 1)成果連動型契約(PFS)・ソーシャルインパクトボンド(SIB)事業においては、革新的で実験的な事業を実施する事業者に対して、民間資金を導入しての事業実施を行います
    選定された事業者(企業や非営利組織)は、事業を実施。受益者に対して社会課題解決のためのサービスを提供します。
    その事業実施にあたり、第三者評価機関として、「事業評価者」がインパクト評価を実施、事業の成果を評価します。
  • 2)事業の実施中から終了後に、事業評価者による成果モニタリングを実施します
    政府は、そのインパクト評価の結果に基づき、当該事業が成功したか(期待する社会的な成果をを上回ったか)否かを判断。
    成功と判断した場合のみ、事前に合意した契約内容に基づき、事業実施コストに投資家のリターンを加味した金額を投資家に償還します。
    この時、事前に合意した目標に到達しなかった場合、投資家への償還は発生せず、事業は終了となります。
  • 3)最終的に成果が上がれば、行政が投資家に償還します
    事業評価者の評価によって成果連動型契約(PFS)・ソーシャルインパクトボンド(SIB)事業が成功したと判断された場合、事前に契約で合意された水準での行政から投資家への償還が行われます。
    成果連動型契約(PFS)・ソーシャルインパクトボンド(SIB)事業が成功しなかった場合(事業成果が合意された目標水準に未達の場合)は投資家への償還は行われません。

SIB事業の各ステークホルダーのメリット

各ステークホルダーが成果連動型契約(PFS)・ソーシャルインパクトボンド(SIB)事業に参画するメリットは以下のようなものがあります。

  • 行政
    • 成果連動型支払契約のため、事業目標の達成・未達成が適正に評価される。これにより成果の高い事業を継続し、成果があがらない事業を改善するなど、質の高い行政サービスを実施できる
    • 行政予算の投資対効果を改善できる可能性がある
    • 高い成果を掲げる可能性がある革新的な事業を、事業実施のリスクを資金提供者が追うことで、行政のリスクを軽減しながら実証実験を実施できる。

  • 市民
    • 質の高い行政サービスを受けることが出来る
    • 事業が成功し、政府から投資家にリターンの償還が行われるまで、事業実施資金は民間(資金提供者)が負担するため、革新的な事業の実証を行える

  • 資金提供者
    • 事業が目標を達成した場合、投資リターンを受けることが出来る
    • 「社会的インパクト」を重要視した投資(社会的インパクト投資)に参加できる

  • 事業者
    (企業や非営利団体)
    • 社会的インパクトが高い革新的な事業を実施することが出来る