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2021.11.8
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【Pioneers Post記事紹介】Jeremy Nicholls氏最新コラム「Go figure: why public accounting doesn’t add up on social value(公的セクターの会計において、社会的価値が加算されない理由)」
2021年10月5日にPioneers Postに掲載された、Jeremy Nicholls氏による最新のコラム「Go figure: why public accounting doesn't add up on social value(公的セクターの会計において、社会的価値が加算されない理由):SVJによる訳出)」をご紹介致します。

記事サマリー

今回は、公的セクターにおける会計において、なぜ社会的価値が計上されないのかについて検討します。

公的セクターが、公的な利益のために貢献することは当然のことでしょう。しかし、もし現在のシステムが人々のウェルビーイングを見落とし、財務的なインパクトにのみ注目してしまう、あるいは、社会的な価値を間違って認識したら、どうでしょうか。

財務報告は、一義的には投資家や債権者、取引先など主要な関係者のために提供されるもので、将来の財政のための意思決定における判断材料となるものです。しかし、財政に影響を与えない要因が考慮されないのは、経済システムとして決してよいことではありません。公的セクターの会計は、より広範な人々の利益のための意思決定がされるべきでしょう。

現在、インパクト会計や持続可能性の議論の中心は民間部門において行われていますが、公的セクターは世界経済の4割を占めています。私たちは公的セクターの会計基準に注目すべきで、この基準が本来求められている情報ニーズを満たせていない考えています。私たちは、投資や活動における社会的及び経済的な利益とコストの両方を評価するための費用対効果分析を確立すべきでしょう。

公的セクターに関わる様々な組織の規定において、人々のウェルビーイングに関する記載はあるものの、会計基準となるといつの間にか「ウェルビーイング」という言葉は消え、財務的な観点にのみ焦点が絞られてしまいます。もちろん、どのように資源を使ったのかは、公的セクターにとっても重要ですが、それはあくまで部分的な情報であって、もっとも重要なことは人々のウェルビーイングなのです。つまり、公的セクターの会計が果たすべき役割とは、お金がどう使われたのかだけではなく、お金が使われた結果として人々のウェルビーイングはどうなったのかということを明らかにすることです。そのために、経済的な観点が盛り込まれている費用対効果分析の中に、人々のウェルビーイングという観点を組み込んでいくことが求められます。

財務レポートは、期待される財務リターンに焦点を当てていますが、事業はそれ自体が目的ではないはずです。事業の結果が、人々のウェルビーイングのレベルをどれだけ高めたのか、あるいは少なくとも維持したのかということこそが重要なのです。例えば、財務的なリターンが10%得られても、そのリターンによる購買力が、光熱費の上昇などで50%減少してしまうなら、意味がありません。つまり財務的な側面だけでウェルビーイングを算出することはできません。ですから、もっと直接的にウェルビーイングを測る評価方法が必要です。もちろん、この方法も完璧ではありませんが、より実用的だと言えるでしょう。

 

※原文(英語)はこちらのPioneers Postのホームページよりご確認下さい。

Jeremy Nicholls氏の紹介

ジェレミー・ニコルズは、Social Value Internationalの創設者の一人であり、Capitals Coalitionのアンバサダーを務めています。