【参加報告:2019年11月27日@株式会社三井住友フィナンシャルグループ本社】「ステークホルダー・ダイアログ」 - Social Value Japan|ソーシャル・バリュー・ジャパン

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お知らせ

2020.6.25
お知らせ
【参加報告:2019年11月27日@株式会社三井住友フィナンシャルグループ本社】「ステークホルダー・ダイアログ」
2019年11月27日に開催された、株式会社三井住友フィナンシャルグループ様(以下、「SMBCグループ」様)の2019年度「ステークホルダー・ダイアログ」に、当法人ソーシャルバリュージャパンの代表理事 伊藤 健が、専門的な立場から意見を述べる外部有識者2名の内の一人として参加させて頂きました。

「ステークホルダー・ダイアログ」とは

「ステークホルダー・ダイアログ」は、ステークホルダーとの対話を通じて社会的責任を検証する場として、SMBCグループ様が定期的に開催されているダイアログです。

2019年度ダイアログ②(2019年11月27日開催) の概要

2019年度の第二回目ダイアログでは、社会課題解決のために、メガバンクグループが求められる社会的インパクトについて話し合いが行われました。

SMBCグループ様の長期計画とKPIに、社会的インパクトという観点でのKPIの設定をされるということで、当法人代表理事の伊藤よりアドバイスさせて頂きました。

伊藤からの共有・助言内容

【社会的インパクト評価の全体像と特徴について】

社会的インパクト評価とは、従来の事業評価のようなアウトプット(施策の取組の結果)の把握だけではなく、アウトカム(アウトプットにより期待される社会への効果)による社会へのインパクトを評価していこうというもの。社会的インパクトを測る際、社会的インパクト評価における相互換性を担保するために、SDGsの169の指標群やIRISの基準などを活用する動きが加速しつつある。難点は、事業実施からアウトカムの実現までに時間がかかるということや評価にコストがかかること。

 

【定量的・定性的評価について】

定性・定量のどちらの評価も必要だが、制度化・組織化に必要とされる指標や、マーケットメカニズムを作り出すための指標として、数値的評価のニーズが特に強い。定量指標では、顧客満足度も含まれる。測り方は様々だが、定量的な評価を活用して定性的な評価を補足できる。

 

【社会的インパクト評価時のグローバルな指標について】

IRISは、インパクト評価業界の指標として使用されている。1,000個以上の指標があり、領域別に推奨指標を提示している。登録しているユーザーは2019年11月時点で15,000社ほどになっており、インパクト評価の比較可能性に貢献している。

 

【社会的インパクト投資の傾向について】

社会的インパクト投資を行う際、対象となる社会課題やSDGs項目と照らし合わせて、投資先のインダストリーフォーカスや、プライオリティポリシーを明確化するのが傾向となっている。特に環境問題は実績が多く、産業としての規模もあるので評価しやすい領域だ。ただ、社会的インパクト投資が、このような取組の容易な分野に偏ってしまう懸念がある。

 

【教育分野の社会的インパクト評価の傾向について】

教育の本来的な「人間的成長」という社会的インパクトは、長期間のアウトカムの観察が必要である。他の先進諸国では、過去の研究蓄積に基づく指標が既にあるため社会的インパクト評価をしやすい。一方、日本の教育ではそうした研究が進んでおらず、試験の得点推移のような短期的な評価軸を指標としがちだ。

 

【社会的インパクト評価の捉え方について】

社会的インパクト評価では、「ポジティブな」「意図した」アウトカム以外にも、「ネガティブな」、「意図していなかった」アウトカムも計ることが必要だ。ネガティブアウトカムでは、リスクを軽減するために、事業者やステークホルダーとの対話を通じた対応が求められる。

また、アセットオーナーやアセットマネジャーが社会的インパクト投資を実行することで、発行体である事業者が社会的インパクトに配慮した経営を行うという、トリクルダウン(水滴がしたたり落ちた際に広がる波紋)の効果もある。実際に最近では、CSR部のみならず、IR部や経営企画部から、投資家目線で自社事業のリスクとインパクトを考える必要があるという認識での問い合わせが増えている。

 

【社会的インパクト評価のグローバルな流れについて】

2018年にIFCや国連等により、「インパクトマネジメントプロジェクト」という社会的インパクトについてのフレームワークができた。賛同する資金提供者が、賛同ベースで数千人集まり、社会的インパクト評価の実践においてグローバルな流れができている。更なる統合の動きが進行していくと、社会的インパクト評価や社会的インパクト投資が「ティッピングポイント(社会的な臨界点)」を超えて、急速に普及していくだろう。

 

【今後SMBCグループ様に求められる社会的インパクトについて】

役職者の意識変化が、最近の企業の社会的価値の議論のテーマになってきている。サステナビリティが彼らへ浸透することで、実際に人事評価や社内文化へ反映され、インパクトビシネスが沢山生まれる可能性がある。

参加者

特定非営利活動法人ソーシャルバリュージャパン 代表理事
伊藤 健

 

第一生命保険株式会社 運用企画部部長兼責任投資推進部部長
銭谷 美幸氏

(※社名、肩書き等は開催当時のもの)

 

株式会社三井住友フィナンシャルグループ様、他SMBCグループ各社様

 

※上記画像出典:株式会社三井住友フィナンシャルグループ様