今回の記事では、社会的インパクトについて理解するために、なぜ監査が重要なのかを説明します。
監査とは、社会的イノベーションであると考えます。なぜならば、監査の存在によって潜在的に投資対象だと考えらえる投資先が増え、投資のリスクを軽減することもできるからです。また、監査は過去100年間の世界のGDP(および一人当たりのGDP)の驚異的な増加の原動力となった、株式市場への投資の拡大にも貢献しています。
通常私達は、何かを決定するとき、つまり何かを選択する際には、何らかの情報に基づいて決定を行います。その際、情報の正確性や完全性、あるいはそうではないリスクをについて吟味した上で意思決定を行います。監査は、このプロセスを公式化し、財務情報等の情報に重要な虚偽がないことや、投資家が財務的リターンを期待して行う投資判断のために重要な情報が含まれていることを、保証します。
財務においては、情報の重要性を判断するのは企業ではなく、監査の役割です。監査は、投資家や資金提供者、商品やサービスの提供者を保護し、彼らのリスクを許容範囲内に低減すること、そして情報を利用価値のある情報に変換する最終ステップです。
更に、持続可能性に関する情報などの非財務的情報も、投資家にとって有益です。社会や環境への影響は、投資家を含めた多くの人が感じていますが、住んでいる場所や暮らし方によって、そのレベルが異なります。企業の財務的リターンにはほとんど影響しない問題でも、他の人々の生活には大きな影響を与えることがあります。
また近年、欧州では、企業のサステイナビリティについての開示要求が高まっています。これまでのサステイナビリティ報告書の開示の対象は投資家ではなく企業経営者とされてきました。これは、開示されている情報が、経営者以外には有用ではないと言っているのと同じことです。そのため、持続可能性に関する情報が投資家にとって有用であることが見落とされがちでした。また、監査を受けない企業のサステイナビリティに関する報告書は、経営者側が重要と考える情報が示されているだけで、その情報は有用ではありません。
社会的インパクトによる財務的リターンへの影響を知るには、まずそれらの影響を受けた人々にとって何が重要であるかの特定が必要です。その情報を以て、どのような事項が人々にインパクトを及ぼすかを評価することができます。
監査は、投資家の利益を守るだけではなく、より広範なステークホルダーの利益を守るためにも活用することが可能です。
原文(英語)はこちらのPioneers Postのホームページよりご確認下さい。
Jeremy Nichollsは、Social Value Internationalの創設者の一人であり、Capitals Coalitionのアンバサダーを務めています。