【Social Value Matters 2021のサマリー記事】2021年10月21日開催分① - Social Value Japan|ソーシャル・バリュー・ジャパン

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【Social Value Matters 2021のサマリー記事】2021年10月21日開催分①
2021年10月20日・21日に行われた(バンコクの会場での参加とオンライン参加のハイブリッド形式)、Social Value Matters 2021「Leading our Transition to a Sustainable World」のサマリー記事です。 今回は、第二日目の10月21日開催分のサマリー①になります。

開催2日目(10月21日)

Keynote Speech 3 : Creating Long Term Impact Through Creative Partnerships and Innovative Investments

The Rockefeller FoundationのManaging Director of Asia Region OfficeであるMs. Deepali Khannaは、新型コロナウイルスの世界的パンデミックを通じて、リーダーや政策立案者、投資家、科学者、そして起業家が持つ知識やリソース、コミットを集結・協調する事が、問題解決やSDGsの達成において大変重要であるという事を改めて実感していると述べました。また、そうした社会的インパクトの実現のために力を合わせて取り組む事は、Rockefeller Foundationの活動方針のDNAとして根付いていると語りました。

更に、パートナーシップの利点として、①ステークホルダーが共に成長できる、②効率的なリスク管理ができる、③意思決定や戦略立案に活かすことができる、④問題解決におけるイノベーションを起こすことができる、の4つの点を挙げました。

また、パートナーシップにより長期的なインパクトを生み出すためのアプローチとして、次の5つのCを挙げました:①Change(今まで協働した事がない企業・団体にも積極的に関わろうとする姿勢をとる事)、②Choose(同じ意志を持つパートナーの選択)、③Capital(財政的な資本のみならず人脈や専門知識等も組み込む事)、④Clear motivation(明確なモチベーションを持つ事)、⑤Challenge(リスクをとり、様々な企業・団体とパートナーシップを組もうとする姿勢)。

Plenary Session 2 : The ‘Responsible Investor’ and How Do We Go Beyond ESG?

SG投資を超えて、どのように責任投資を世界に浸透させていくのか、そのキーポイントをディスカッションした本セッションでは、まずPredistribution Initiativeの共同創業者 Ms. Amanda Feldmanが冒頭のプレゼンテーションにおいて、インパクト投資家がポジティブな結果をもたらす投資を行う為にどのようなメカニズムが必要なのか、IMPのABC理論等を用いながら解説しました。また人々はAvoid the harm(A部分)を良く使い、ネガティブインパクトのスクリーニングをすることに取組む人が多いということを伝えました。

Dr.Frank Aswaniは、AVPAのCEOであり、アフリカ地域においてSDGsを通じた資金の流入やESG投資などにより社会的発展は継続的に必要であると強調しました。またドローンや医療、ITなどインパクト投資家にとって魅力的なイノベーションの可能性が詰まっているということを話しました。

またディスカッションでは、ESG投資を推進しエコシステムを作るために何かキーポイントとなるかという点が話されました。スピーカーの一人、Ms. Krisztina Toraは、「人々の情熱がもっとも重要である」と話します。また、投資家、営利企業、ソーシャルセクターなど各セクターごとに戦略を考え、全てのセクターに対して包括的なアプローチをしていくことが必要と語りました。

Panel Session 1 : Linking Climate Change to Social Inequality

World Business Council for Sustainable DevelopmentのSenior Manager、Ms. Victoria Crawfordは、気候変動問題の解決には、サステイナブルな農業・土地利用が鍵であると述べました。また同時に、農業は世界の貧困層の2/3が従事しているセクターなので、農業のサステイナブル化は、貧困削減や、人権・ジェンダー問題の解決にも繋がるはずだと主張しました。さらに、農業人口の高齢化にも触れ、今後いかに農業分野を活性化させ、若い世代にも受け継いでいくかを考える事も大事だと語りました。特に、地方や中小企業に対しての財務的支援や、人権尊重のためのガイド提供、発送・調達等の場面での最新のテクノロジーを活用する機会の提供が必要とされていると述べました。

また、社会的起業家のMr. Corey Lienは、経済的に恵まれている人々が、大量消費をやめることで、その分、社会的弱者にある人々のために電力などのエネルギーを分配することが可能だと語りました。更にこうした活動は募金のようにコストを掛ける事なく行う事ができ、実際に台湾でこのような活動が行われて大きな波及効果があった事に触れ、深く考え過ぎずに今すぐ何か行動を起こす姿勢が大事だと述べました。

さらに、グローカル人材開発センターの代表理事の行元沙弥氏は、2021~2023年に台湾・タイ・日本等で行われる、気候変動と貧困削減の同時解決システム構築のためのトヨタ財団の国際助成プログラムを紹介し、こうした国を越えた社会的協働が、問題解決を加速させる事ができると強調しました。また、大学機関、学生、中小企業などあらゆる分野の人々が共に成長し、協力する事が大事だと語りました。

Panel Session 2 : Peace and Human rights : the Values of Our Society

このセッションでは、「人権や平和を念頭に置いた時、社会的価値はどのようにして誰も取り残さないコミュニティ作り(Community Imvolvement)に役立つのか」、「人権や平和を目標とするプロジェクトの成功はどのように評価するべきか」という2つの質問を中心に議論が行われました。Envoy PartnershipのOliver Kemptom氏は社会的インパクトと社会的価値の違いと、それらの使い分けの重要性を述べました。前者はプロジェクトの効率と効果を、社会的価値は誰に何をどのように届けることのかを重視しているからです。また、コミュニティの包括性に関しては人権や平和のトピックとは切り離せない関係にあり、量的リサーチに加えて、質的リサーチを行うことや、ステークホルダーのパワーダイナミクスにも注目することで、この分野での社会的インパクト評価を発展させていける点にも言及しました。Gender Equality and Social Inclusion Advisor Asia Pacific Regional OfficeのDr. Varaporn Chamsanit氏は、ジェンダー平等の観点から、社会の包括性が平和や人権といった価値の拡大に繋がることを述べました。ジェンダー不平等は格差だけでなく、特定のグループに対する差別や社会からの排斥に繋がる可能性を指摘し、ジェンダー平等に向けて現在行われているイニシアティブと関連して具体的な活動事例を紹介しました。Ratchasuda College, Mahidol UniversityのTavee Cheausuwan教授は、障がいを持つ人をいかに社会から取り残さないかという観点から、Social justice principalに言及しました。特に平等・公平・相互利益という3つの概念に触れ、平等だけを追求するのではなく、この3つが考慮されたコミュニティの重要性を示しました。また、大学で実際に行われているプロジェクトも具体事例として紹介されています。

Panel Session 3 : Social Value in Public Infrastructure, Urbanisation and the Built Environment

Dri Singh Intrachooto氏は、アップサイクルのプロジェクトの紹介を行いました。このプロジェクトでは廃材の再利用により新しい家具や建設の素材を生み出すだけでなく、地方や村に住む職人たちへの雇用創出にも寄与しています。また、このモデルを活用して、現在大型再開発スマートシティ“Forestisas”の建設が予定されている。Nicola Crosta氏はタイ都市部の建設現場近くのキャンプに住む建設関係者の子ども達が抱える問題に対し取り組んでいます。12のアクションと3つのツールキットを用いた取り組みを行っており、資産では、建築関係者とその家族に対する投資は7倍の価値となって返ってくると説明しました。Kevin Robbie氏は建設やインフラへの社会的インパクト創出のためのプロジェクトに対して評価を行っています。例として社会起業家のための街建設のプロジェクトを取り上げ、評価の4つのレベルやディベロッパー、政府、for purposes組織それぞれの観点から留意するべき点について言及しました。最後にAnn Bentely氏は建設分野におけるウェルビーイングについて説明しました。イギリスでは地域によって生活に必要なサービスへのアクセスが限られてしまっている課題があり、政府は新たな施設の建設によってどのようにインパクトが見込めるのかを検討しています。また、企業においてもESG投資を重視して建設の分野に投資を行うことを考えている傾向があり、こうした点からインパクト投資への現状と重要性を示しました。

 

Panel Session 4以降のサマリー記事は、「2021年10月21日開催分②」として次回ご紹介致します。