【Pioneers Post記事紹介】Jeremy Nicholls氏最新コラム「Accountancy can save the world: the prequel(会計が世界を救う(前編))」 - Social Value Japan|ソーシャル・バリュー・ジャパン

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2021.10.5
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【Pioneers Post記事紹介】Jeremy Nicholls氏最新コラム「Accountancy can save the world: the prequel(会計が世界を救う(前編))」
2021年9月2日にPioneers Postに掲載された、Jeremy Nicholls氏による最新のコラム「Accountancy can save the world: the prequel(会計が世界を救う(前編)):SVJによる訳出)」をご紹介致します。

記事サマリー

会計は、実は社会環境的な問題に対する解決の鍵を握る存在でありながら、多くの人に顧みられては来ませんでした。会計の役割とは、金銭的なリターンに対してのみならず、持続可能性に対する意思決定を導くような情報を提供することです。つまり、「期待される金銭的なリターンを評価する」ではなく「投資家のみならず、社会的なインパクトという結果に対する金銭的なリターンを評価する」ということなのです。

 

ここで大きな問題となるのが、どのようにその評価を行うのかということです。近年、企業価値における無形資産の割合は9割を超えていますが、無形であるがゆえに、貸借対照表(B/S)上に明確に表現しきれていないという問題があります。つまり、その無形なるものをいかに既存の会計基準の中に組み入れていくのかが焦点となります。

 

そもそも、財務諸表は企業自体の価値を示すようにできてはいません。そのこと自体は、会計上の問題ではありません。財務諸表は、あくまで、既存のあるいは将来の投資家、経営者、債権者たちが価値を計算するのを手助けするためのものだからです。しかし、それこそが問題だと言えます。もし無形資産に関する情報が十分示されなければ、投資家たちは自分たちで埋め合わせるしかなく、最善の意思決定を下すことはできないからです。

 

では、会計はいかにして情報開示を行うべきなのでしょうか。不確実な情報は、その不確実性の度合いに応じ、場所を変えて記載する必要があります。確実性が高ければ、財務三表(B/S、P/L、キャッシュフロー計算書)に計上、そこまで確実性が担保できなければ、注記に記載するのがよいでしょう。それをも憚られるのであれば「経営者の解説」に載せるといった具合です。ここで重要なことは、これら不確実性を含む情報をもすべて財務諸表に載せるということであり、不確実性の内容を十分に伝え、投資判断に活かしてもらう必要があります。このアプローチは、既存の会計基準を変えることなく実施でき、B/S上の価値と市場価値との誤差を縮めることができるのです。

 

会計は、社会における限られた資源をどういった活動に割り振るかを決定する核心に位置付けられており、社会的なニーズと広い意味においての公的な利益をマッチングする最善のアプローチを有しています。会計こそが世界を救う、言うなれば世界を再活性化させる一役を担っていると言えるでしょう。

 

※原文(英語)はこちらのPioneers Postのホームページよりご確認下さい。

Jeremy Nicholls氏の紹介

ジェレミー・ニコルズは、Social Value Internationalの創設者の一人であり、Capitals Coalitionのアンバサダーを務めています。