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2021.7.15
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【AVPN記事紹介】Innovative Finance Models: The New Face of Philanthropy(訳:革命的なファイナンスモデル ~フィランソロピーの新たな一面~)
2021年4月26日にAsian Venture Philanthropy Network (AVPN)のホームページに掲載された記事「Innovative Finance Models: The New Face of Philanthropy(訳:革命的なファイナンスモデル ~フィランソロピーの新たな一面~)」をご紹介致します。

記事要約

世界の公的資金を全て使っても、全人口には十分な公共サービスは提供できません。このギャップを埋めるために、民間セクターによる社会的課題への取り組みの規模が拡大しています。事前的な資金も、成果に基いたモデルへと変化し、サービスイノベーションを促進し、資金の効率的な分配を可能にしています。

 

原文(英語)はこちらのInnovative Finance Models: The New Face of Philanthropy
よりご確認下さい。
※原文執筆者:Danielle Todesco (Junior Associate of AVPN)

ファミリー財団の、助成機関としての役割を超えた活躍事例

多機能かつ個別化された支援は、インパクト投資家の役割です。宝飾品会社Pandoraの創設者らは、ファミリーによる社会貢献のために、2013年にNorth-East Family Office (NEFO)を創設しました。

NEFOの初期投資先である、MentorbarnというオランダのNGOによる子供たちへの支援では、子どもひとりの生涯に必要な公的資金を、100倍以上節減しています。NEFOは、2年間の助成金の提供に加えて、組織戦略立案や、会計・法律面でのサポートを行い、更には、ソーシャルメディアキャンペーンにより、600世帯以上のボランティアを集めました。こうしたNEFOの投資・支援のおかげで、このNGOは、ホームレスや精神疾患、経済活動からの排除などの問題を減らし、6つのデンマークの自治体との委託契約を獲得しています。

東南アジアにおける眼科医療格差の縮小を目指す開発インパクトボンド(DIB: Development Impact Bonds)の事例

DIBもまた、長期的な成果のために、セクターを超えた協働と資金調達を行う、革新的な財務手段です。世界の27億人の視覚障がい者が眼科医療を受ける必要があり、特に、その90%が開発途上国に住んでいます。また、視覚障碍者の3分の2を女性が占め、女性の眼科医療の利用機会が男性の半分であることを考えると、眼科医療への投資はジェンダー格差の是正にも繋がります。 Vision Catalyst Fund (VCF) は今年、初の「眼科医療起業家支援DIBプログラム」を発足させました。インドの地方に暮らす7000万人に眼科医療を届けるために、3500人もの眼科医療の起業家に教育や啓発を行うプログラムで、起業家たちは平均して年に 64%の事業収益の向上が見込まれています。

社会的財政ツール SIGs(Social Impact Guarantees)

成果に基づく投資の最新型と言えるのがSIGで、このモデルは、政府の役割が成果報酬の支払者ではなく先行投資家であるという点で、ソーシャルインパクトボンド(SIB)と異なります。SIGの場合、成果が得られなかった際、第三者である保証人が、政府に資金を返済します。これにより、従来のSIBにおいて問題視されていた、政府が予想される成果報酬を支払うための資金を事前に確保するために金銭的負担を負う「二重資本主義」の問題を回避することができます。

Tri-Sector Associatesは、非雇用で社会的に疎外されたシンガポールの若者4万人を対象に、YMCAと共に世界初のSIGプログラムを実施しました。このSIGにより、YMCAがより多くの受益者にサービスを提供する事を可能にするだけでなく、ドナーに対しては、資金が効果的に使われていることを保証すると共に、もし事業成果が出ない場合は資金を返済することを約束しています。

PFS(Pay for Success) ~社会問題に対する、万能薬ではなく代替案としてのモデル~

PFS(成果連動型民間委託契約方式)は、多くの成功例を生み出しているとはいえ、全ての社会問題への万能の解決策ではなく、状況や問題の背景によってリスクもあります。PFSモデルが最もうまく働くのは、クロス・セクターの事業に対して、成果評価が行われる場合で、公的サービスが必要なサービスを届けられない複雑な社会問題に成果をもたらすことができる可能性があります。